tabula rasa

いわば、スクラップブック兼メモのようなもの。
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21.01.05

おっちゃんの笑顔…priceless(笑)[気になるモノゴト,読書記録]


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Big Issue』という雑誌がある。主に首都圏や関西で販売されていて、一部200円。
この雑誌が他と大きく違うのは、書店では買えないってことだ。欲しいと思ったら、
販売員から買わないといけない。そして、その販売員になれるのは、ホームレスだけ。

"ホームレスの仕事を作り、自立を応援する"という使命を担い、ロンドンで創刊されたのが91年。
それが成功を収めて、日本に上陸したのは03年。当初は月刊だったのが、昨年9月からは
月2回刊になった。

販売員として登録すると、はじめに『Big Issue』誌が10部無料で支給される。
全部売れると2000円の収入。今度はそれを元手に1部90円で仕入れをすることができる。
そうやって販売員自身が仕入れと販売を続けていくシステムだ。
仕入れと売り上げの差額は販売員の手元に残るから、彼らはそのお金を貯め、
自立へとつなげていくことができる…ということらしい。

私は創刊2号から購読しているが、はじめは(自分が傲慢だったのだが)どこか
ボランティア的感覚で、「買おう!」と思っていた。
世の中ではフリーペーパーというものがいたるところで配られている。200円を出して、
それに見合う情報が得られるのか?と。そこを考えると、はじめは正直心配だった。
イギリスや他国の『Big Issue』からの翻訳が多く、登場するアーティストも、音楽の
趣味が相当偏っている自分には、ピンとこなかったりしたのが正味の話。
HMVやタワレコで配ってるようなフリーペーパーとあまり変わらないんじゃないの?
という印象すら持った。
それでも、ギャラも発生しないのに、『Big Issue』に登場することを誇りにしている俳優や
アーティストを見ると、素直にその姿をカッコいいと思った。
…そして、なによりも販売員のおっちゃんたちが、それまでのホームレスの「イメージ」
とは違って、とても紳士的で魅力的だったのだ!

ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦』は、ライターの櫛田さん(HPはこちら)が
渋谷で偶然出合った『Big Issue』とその販売員さんたちとの交流を軸に、ホームレスの
人たちの生活ぶりや彼らを取り巻く問題、そして『Big Issue』発行スタッフの奮闘ぶりを
描いた本だ。
櫛田さんの筆を通して見た販売員のおっちゃんたちは、皆とても個性豊かで素敵だ。
喜怒哀楽があふれている(怒はあんまりないか…汗)。
彼らと関わることで、櫛田さんも素直で贅沢な感情を生き生きと伝えてくれるので、
まるで自分も販売員さんたちと知り合いになったかのような親近感を抱いてしまう。
本を読みながら、思わずにやにや、うるうる。…かなりアブナイ(?!)

本誌も、最近は日本独自の記事も増えたし、視点やテーマの選び方も、『Big Issue』
ならではという様なものが多くなったと思う。
普通に娯楽では終わらず、自分を取り巻く世界や社会で起こっている様々なことを
教えてくれる。そして時には深く考えるきっかけをくれる。

おっちゃんの笑顔がみたい。そう思ってついつい声をかけてしまう。
おっちゃんの笑顔は、愛想や冗談じゃなく、本当に輝いている!
心からの「ありがとう!」という言葉と笑顔が、人をこんなにもシアワセにしてくれるんだな~
と、いつも感じる。
そして、差し入れのカイロ片手についつい立ち話をしてしまう。
最近良く行く販売員さんは、次号の『Big Issue』に出るんだと教えてくれた(『今月の人』
という販売員さん紹介記事がある)。…これは次号、サインしてもらわねばっ。

…たった200円。
でも、私は時々200円以上の物を販売員のおっちゃんから受け取っているのでは
ないかと思うことがある。
街で『Big Issue』片手に立っている販売員さんがいたら、是非声を掛けてみて下さい。

[ところでドイツのストリートペーパーを翻訳するボランティアとか、ないかしらん??
ストリートペーパーはドイツでも、ベルリンやミュンヘンはじめいくつかの都市で
出ていることだし、ボランティアなんかあったら是非させて欲しいのだけど(…って
先に書いたことと矛盾してる?)。]

投稿者 contra : 23:25 | コメント (0)

20.12.04

イメージで遊ぶ969語[お買い物,読書記録]

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何気なく立ち寄った書店で思わず即買いしたのは、『ぎおんごぎたいごじしょ』。
擬音語・擬態語の辞書にしては、収録語数が969語というのは決して多くない。
それでも買ってしまったのは、なんだか辞書らしからぬデザインとレイアウトだったから。

手に取るとわかるのだが、ぱっと見は「辞書」というより可愛い写真とか絵本とかの類。
そして実に余白が多い。
普通の辞書のように、語句が整然と並んでいることは、まずない。ぱらぱらとめくっても、
子供のお絵かきみたいなイラストが続いていたりする。
そして、そこにひょこっと現れるのが

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…というような感じ。
もちろん「辞書」だから、意味と用例もついているけれど、これもなかなか面白い。
用例文はストーリーを感じさせるものが多い上、どこかキャラクター設定のよう。
登場人物はイラストで巻末に紹介もされているから、どこか愛着が湧く(糸人間だけど…笑)。
それからレイアウトも凝っている。
「ねちねち」の項では、『性格がくどくしつこい様子』の意味通り、例文もねちねちしている。
なんと、生徒への説教がなんと3ページ以上も続くのだ(笑)
「めちゃくちゃ」が置いてあるページのレイアウトはまさにカオスだし…。

一応五十音順だし、索引もついているけれど、やはり実用の面では真面目な辞書の
方が使い勝手がいいだろうと思う。
けれどもこの辞書は、ページをめくるたびに広がるイメージがとても豊かだ。
辞書のようでもあり、絵本のようでもあり、写真集のようでもある。
作り手が楽しんで作った…そんな感じが伝わってくる「真面目」な辞書(というより本!)だ。
969語のイメージで遊ぶ一冊。もし実物を見かけたら、手に取ってみてください。
女の子にプレゼントすると喜ばれそう(個人的には枕元におきたい一冊☆)。

投稿者 contra : 21:42 | コメント (0)

10.12.04

ignobleな人々?![読書記録]

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カラオケの発明者、井上大佑氏が受賞したとということで、秋口あたりにあちこちの
メディアでこの賞が紹介されていた。カラオケがものすごい発明なのはわかるし、
それが世界で表彰される価値があるということにも、まあ納得。
…しかし、イグ・ノーベル賞って何ぞや?
そう思って手にとったのが『イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!』。

これによると、イグ・ノーベル賞とは「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に
与えられる」賞。"ignoble(品がない、不名誉な)"と"nobel(ノーベル賞のノーベル)"を
掛け合わせたというだけあって、裏ノーベル賞と呼ばれることもあるんだとか。

審査は"本物の"ノーベル賞受賞者や各分野の専門家に加え、偶然通りがかった人も
参加して行われるらしい(笑)。
第一回のイグ・ノーベル賞授賞式は1991年なので、本家ノーベル賞ほどの伝統は
ないけれど、インパクト大なのは受賞者達の顔ぶれをみると良くわかる。
参考までに挙げてみると…
・古代壁画を落書きと間違えて消してしまったフランスのボーイスカウト
・性交中の男女の生殖器をMRI撮影した医師チーム
・原爆投下50周年を記念し、核実験を行ったフランスのシラク大統領 
・ミハイル・ゴルバチョフが反キリストでない確率を算出したエンジニア・数学者
・アポストロフィ保護協会           などなど…。

痛烈な皮肉をこめている場合もあれば、純粋に「やってのけた」業績に対しての称賛
もある。受賞を名誉と思う人もいるし、不名誉だと思う人もいる(…なぜかイグ・ノーベル
賞は、ノーベル賞受賞者からの熱心な支持が多いんだって。面白い)。
どの受賞者も研究や行いの最中には、この賞を受けるなんて思いもしなかっただろう(笑)
意外なことに、日本は英国に次ぐ受賞大国。
過去には「たまごっち」や「バウリンガル」なんかも受賞しているのだそうだ。

一見ignobleに見えるような人たちが、じつは個性と唯一無比の才能のかたまり…。
そしてそこに光が当たることで、皆を笑わせ、そしてちょっぴり考えさせる…。
ノーベル賞もいいけれど、イグ・ノーベル賞もなかなか洒落ていると思う。
ちなみにイグ・ノーベル賞の公式サイトには、歴代の受賞者・
受賞研究の完全紹介や、その後のレポートなども掲載されているとの事。
興味のある方は是非。

投稿者 contra : 17:40 | コメント (2)

22.06.04

茶色の朝[読書記録]


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最近年配の方と話をすると、流れは大抵年金の話、それから“イラク問題”。
…どれもぼやきだ。
特に戦争を知っている世代の人は、世の中の雰囲気が「イヤ~な雰囲気」なのだという。
「そうなんですかー」なんていいつつ、心のどこかで「やっぱりな」なんて思っている。

個人的に直接的な被害をこうむったことは無いけれど、少数派の意見が届きにくく
なったんじゃないかと思う。最近の事件に対する世の中の反応もそうだし、政治もそう。
なんだか「息苦しい」感じがする。

ナチス時代のヒトラー・ユーゲントには、規律が厳しいイメージがあるが実際は
意外にも“民主主義”が浸透していたそうだ。
「皆で納得行くまで話し合いをする。その代わり、決定したことには徹底して従う」
とのモットーのもと、活発な意見が交わされたという。
そういう意味において、ナチスはきわめて民主主義的な組織だったらしい。
「民主主義は良いものだとずっと思っていたのですが、じつはそうじゃない。
大事なのは、少数派の意見が少数派として機能している、尊重される事なのです」
…何かで読んだ、ナチ研究家の言葉が脳裏から離れない。

時期的に読むのが重なった「茶色の朝」と「戦争のつくりかた」。
どちらも、あちこちの新聞で紹介されているから言うまでもないのだけど、
「戦争は、実は始まる前から始まっている」のだということを訴えている。

「茶色の朝」は、ある男の口から淡々と語られる物語。
“茶色の動物を取り除く制度”が導入され、彼と彼の友人は可愛がっていたペットを
殺さねばならなくなったこと。
「白と黒の猫だった。まあ、あまり感傷的になっても仕方ないさ…。」
政府批判を繰り返すマスコミがつぶされて、『茶色新報』紙くらいしか読むものが
なくなったこと。
「うっとうしかった。でも、きっと俺が心配性なんだ…」
内側から起こる疑問をやり過ごして、彼がたどり着くもの。
それが「茶色の朝」だ。
ちなみにドイツでは「茶色=ナチス」のイメージが未だ根強いし、ヨーロッパでは
ファシズムを連想させる色とされている。

「戦争のつくりかた」は、近年日本で可決された法案をもとにして描かれているので
「茶色の朝」よりも具体的だ。
これを読んで「極端だ」と言う人もいるし、「おおげさだ」という人もいる。
正直、私も実感があるとは言いがたい。
けれどもそんな考えが一番怖いんじゃないだろうか。

さて、何が出来るんだろうか。

投稿者 contra : 18:04 | コメント (0)

18.03.04

もうすぐ一年[読書記録]


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サラーム・パックス―バグダッドの日記を読んだ。

blogという形態に気が付いたのはいつ頃だったろうか?良く覚えてないのだけど、彼の
"Where is Raed?"の存在を聞いた時にようやくこれがblogなのか、と認識した気がする。
この本はそのblogの内容をまとめたもの。

彼は29歳の青年。サラーム・パックスとはもちろん偽名。アラビア語・ラテン語でどちらも
「平和」を意味する。大酒のみで同性愛者らしいけど(笑)、れっきとしたイラク人だ。
かれこれ一年前、彼はどういうわけだかこのblogを使って、ナマのイラクの様子を
全世界に発信していたのだ。そもそも友人と連絡を取る手段としてはじめたらしいが、
情報統制の中、よく見つからなかったなあと思うばかりだ。

親しい友人に宛てて書いていた私信のようなものが、やがて様々な国のbloggerたちの
目に留まり、紹介され、反響を呼ぶ。勿論コメントも付いて、ちょっとした議論になる。
アメリカ人からの「アメリカは君たちを解放しに来るんだ」との説得には、「劣化ウラン弾を
落としてくれてありがとう」と、痛烈な皮肉で返す。
彼の批判の矛先は、アメリカだけではない。周辺諸国との長い確執。また、「人間の盾」
に至っては"政府に利用されたヒロイズム"、もしくは"政府を利用した観光"と断じる(これに
ついては様々意見があると思うが、現地人が見た「人間の盾」というのも一つの現実の
姿だと思う)。…勿論いうまでも無く、彼はフセイン政権のままでいいなんて、これっぽっちも
思っちゃいない。
…どこを頼りにするわけでもなく、自分たちの国は自分たちで守り、作っていくしか道が
無いことを、彼は知っている(けれども、今アメリカ軍がいなくなって、治安が悪化するのも
嫌だと思っている)。

日常のすぐ横に、爆弾が落ちてくる…そんな中でも、たくましく生きるイラクの人々。
その力強さにホッとするが、その反面、家族や大切な人との生活を壊される理不尽…それに
対する怒りは消えない。
戦争に反対するのに、これ以上シンプルで正当な理由は無いんじゃないか?
もうすぐ一年。

投稿者 contra : 15:40 | コメント (0)

09.03.04

マグダラのマリアたち[読書記録]


cover

マグダレンの祈りという本を読む。昨年の秋に、恵比寿で公開されていた映画の原作。
残念ながら、映画を見る機会がなかったのだけど、気になっていたので手に取ってみた。

50年代のアイルランド、マグダレン修道院。そこにあるホームに集まってくるのは、子を
みごもった女性たち。未婚で避妊に失敗した者もいれば、家族からの暴行を受けた者もいる。
共通しているのはそれが望まない(望まれない)妊娠であるという事だ。

娼婦の身でありながらイエスに帰依し、改心を誓ったマグダラのマリア。彼女の名にちなんで
付けられたこの「ホーム」の実態は、当時弱い立場にあった女性の"避難所"というよりは、
性的に"堕落"したものを矯正する収容所だった。

入所者は頭を刈られ、粗末な制服を身に付ける。シスターが目を光らせ、お互いの会話は
禁じられる。厳格な規則、重労働、不衛生な環境…読み進むたびに顔をしかめる描写が
続く(例:臨月のものにも道路の舗装工事、陣痛が始まっているのに掃除!)。
陣痛の耐え難い痛みにも、分娩台に上がることを許さない、そんなシスター。
彼女が折に触れて口にする言葉は「五分間の快楽の罰です」…。"5分間"かどうかはともかく
中には暴行を受けた女性もいるだろうに。そして当の妊娠させた張本人は、外の世界で羽を
伸ばしているのに…。

出産を終えた後も、子供が3歳になるまでは出られない。再び続く重労働の日々。彼女たちが
再び「外」の世界へ戻るのは、子供がどこかにもらわれていくのを、自分の目で見届けてからだ。
祝福されない妊娠、子供との別れ。…これが「五分間の快楽の罰」?

厳格なカトリックの教えを基盤としていた50年代のアイルランド。処女性が神聖視されていた
時代の話だ。当時は地域のコミュニティもしっかりしていただろうから、望まない妊娠をした者や
その家族は、さぞかし居心地が悪かったろう。もちろん、誰が悪いかを言い出したらキリがない
けれど、驚くべきはこの収容所(いや、修道院か…)は、96年まで存在していたということ。
この話は実話で、収容された女性は延べ3万人だという。
…映画も機会があれば是非見たい。

投稿者 contra : 15:45 | コメント (2)
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