25.07.05
怖い話[身辺雑記]
梅雨が明けたというのに、一向に晴れない。
大阪に住む母親は、電話で連日の暑さを「これでもか」と言わんばかりに語るが、
こちらはといえば、今頃だったらセミも鳴いているはずなのに、その気配すらない。
何だか変な気候だな、と思っていると地震がやってきて、その上台風まで来るらしい。
一体どうなってるんだ?
…と、天気の話はこのくらいにして本題。
とある事情から、週に何度か、早朝自転車で町内を回っている。
まあ散歩みたいなものだけど、コースは殆ど変わらず、かれこれ一年以上続いている習慣だ。
体重はあんまり変わらないけれど、おかげでずいぶん顔見知りの猫が増えた。
どんなに眠い顔で自宅を出発しても、彼らと挨拶を交わしているうち、自転車散歩を終える頃
にはすっきりしてくる。前日の睡眠が足りないと、朝食後に猛烈な眠気がやってくるのがたまに
キズだが、それ以外はおおむね良好。
それはかれこれ一週間前の事。
いつも通り過ぎるマンションの前に、ホームレスのおじさんが寝ていた。丁度歩道の上に
大の字になって寝ていたので、私はそれを見つけるや否や思わず苦笑した。
…私の住んでいる地域はホームレスが多く、彼らが路上で寝ていてもあまり違和感は
感じない。しかしさすがに大の字で寝るのはお目にかかったことがなかったので、それが
私の目を引いた。
おじさんに声を掛けて、起こしてあげた方がいいのかな…でも、怒られてもいやだしなあ。
ケーサツに電話しておいた方がいいのかな。でも今日は成田まで行かないといけないし、
いろいろ時間をとられるのはヤダなあ。
まさか、暑さで寝てるうちに死んじゃってた…なんてドラマじゃあるまいし…。
そんなことを考えはじめた時、突如猛烈な臭いが鼻を突いてきたので(風下だった)、
結局おじさんの手前で引き返して、別の道を家へと戻った。
さて、翌日。
前日のおじさんは、さすがにもういないだろう…と思って自転車を走らせる。
例のマンションの前を通り過ぎようとして、何気なく地面を見やったその瞬間、何だか私の
両肩にずしんと響くものがあった。
私の目に入ってきたものは、なんと白いチョークの人型模様だったのだ。
死の「記号」としては強烈だ。
…子供の落書きだったら、どんなに良いだろう。
両肩にずしんと響くもの…それは怪奇現象といういうよりもむしろ自分の後悔の念だ。
生きていたのか、死んでいたのかは判然としないが、あの時交番に行っておくべきだったのだ
という後悔の念。
今でも仕事中の頭の片隅に、白いチョークの人型模様が浮かぶことがある。
毎朝犬を散歩させ、ジョギングする人。日中道を往来する人…実際、まだ路上のチョークは
消えていない。それに気づいている人はどれだけいるのだろうか。
…ただただ冥福を祈るのみだ。
