tabula rasa

いわば、スクラップブック兼メモのようなもの。
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08.06.05

『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』[鑑賞記録(映画、舞台、その他)]

ドイツ映画祭2005』は日程的にも、私のスケジュール的にも折り返し地点。
今日は『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』を鑑賞(リンク先は英・独語)。

ine.jpg

この作品は"盗難と保険"をテーマにした4つの物語。ある同じ日に、ヨーロッパの4つの都市で
起きる事件が描かれている。それぞれの舞台となっているのはモスクワ(ロシア)、イスタンブール
(トルコ)、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)そしてベルリン(ドイツ)。

●モスクワ●
欧州チャンピオンズリーグの決勝戦当日。会場となるモスクワの街には、決勝を戦うガラタサライ
(トルコ)とデポルティーボ・ラ・コルーニャ(スペイン)のサポーターが続々と集まっている。
仕事でモスクワを訪れたイギリス人、ケイトはタクシーをホテルへと走らせるが、運転手は
人気のない住宅街の前で車を止めて、ここから先へは行けないという。「このままずーっと
まっすぐ」という運転手の言葉を信じ、荷物を引きずりながら歩き出した途端、なんとケイトは
強盗にあってしまう。
あっという間に一文無しになってしまった彼女が途方にくれていると、一人の老婦人がやって
きて、しきりに話しかけてくる。婦人は英語が分からないし、ケイトはロシア語が理解できない。
とりあえずケイトは電話を貸して欲しいと身振り手振りで伝えるが…

●イスタンブール●
ベルリンの学生、ロッコはドイツへの帰国を明日に控え、イスタンブールの街を散策する。
街にはガラタサライの旗があちこちではためき、サポーターは大声を張り上げている。
ロッコは治安のあまり良くないクンカピで盗難にあったと嘘をつき、タクシーで警察へ向かおう
とするが、タクシーの運転手は街で聞き込みをすると言って、あちこち車を走らせる。
やっと署までやってきて、運転手を追い払い、保険のための証明書を発行してもらえると
思ったロッコだったが、どうやら警察官は彼に疑いを抱いているようだ…

●サンティアゴ・デ・コンポステーラ●
ハンガリーの巡礼者、ガボールはサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂の前で写真を
撮ろうとしていた。彼は通りがかった男性に声をかけ、撮影を依頼する。大聖堂の扉は
とても有名なもので、ガボールはその扉もぜひアングルに入れて欲しいと注文を付け、
距離をとるべく大聖堂へ近づいた。これでよしと振り向き、笑顔を作るが、カメラを持った筈の
男は忽然と消えていた。カメラには500に及ぶ巡礼の記録が詰まっているのに!
困ったガボールは、近くにいた警官に助けを求める…

●ベルリン●
クロードとラシダはフランスから逃げるようにやってきた大道芸人。借金もあるし、カードも
止められているのに、大道芸で入るお金はほんのわずか。おまけに車の調子も良くない。
困り果てたクロードが、ある提案をする。ベルリンのどこか治安の悪い地域に行って、強盗に
襲われた振りをして保険金をゲットしよう、というのだ。
ラシダは"ヨーロッパ一治安の良い都市"ベルリンでそんなことが出来るはずがないと反対
するが、クロードは聞く耳持たず、ガイドブック片手に治安の悪い地域へと向かう…

ヨーロッパと一言でいうけれど、それぞれの国があって、メンタリティがあって、言語がある。
どれか一つでも違うと、お互いの理解はぐっと難しくなる。全く異質なものと出あった時に
起こる、一種の化学反応…ある時は親近感であったり、混乱や不安や疑いであったり
…そういったものを切り取って差し出している作品だ。
登場人物の台詞にユーモアを感じる場面が多いが、どの作品も、決してハッピーエンドに
終わるわけではなく一筋縄ではいかない。そのコントラストも面白い。
(…正直に言うと、この作品は国が違うとか言語が違うという「舞台装置」が上手く働いているだけ
なのではないかというギモンは残るけれど、アイディアは出したモン勝ち、作品は楽しんだ者
勝ちだね)

基本的にはサッカーがメインでは無いのだが(監督も言ってた。「これはサッカー映画では
ありません」って)、サポーターの歌声や騒ぎを聞いていると、なんだかドイツの居酒屋で
サッカー中継を見ていたときのわくわくした感覚を思い出す。元気が出てくる感じ。
…サッカーはヨーロッパ人のDNAに組み込まれているのかもな。

また、それぞれの都市が美しい。どの町もテレビや写真で見るような場所だけでなくて、
ちょっと寂しい郊外も映し出されているので興味深いし、それが一層、「よそ者」の感じる
不安に効果を与えている。…それにしても最後、やっぱりベルリンの街並みを見るとホッと
します。

物語中に出てきた4つの都市はなんと、監督が好きor気になる都市で、それを使って映画が
作れないか?ということころからスタートしたらしい。なんちゅうか…いいねえ。
監督はポジティブそうな人だった。サインも喜んで応じてくれて、パンフ以外にも自ら持参
したカードにサインをしたためてくれた。…ベルリン映画祭の折、ヨーロッパ各国へは映画が
売れたといっていたから、日本でも売りたいんじゃないかな…売れたらいいね。
ちなみに『グッバイ・レーニン!』で主人公アレックスの親友を演じたフロリアン・ルカス
さんが出演してます。


ところで上映中、メールを打っている姉ちゃんがいて、非常に迷惑した。後ろから舌打ちも
聞こえてたが、あんまり気にしていなかった様子。外で打ってくれや(途中で出てったけど)。
暗い所での携帯電話のディスプレイは思った以上に視界に入ります。頼むわ、ホンマ。

※文中の写真はドイツ版公式サイトよりお借りしました。

投稿者 contra : 08.06.05 23:31
コメント

コメントの書き方を教えていただいたので、やってきました。
この映画、すごく観たかったのに見逃してしまいました。監督にサインいただいたなんていいですねー。
これの次に上映していたFarlandは観ました。あのとき同じ会場にいたのですね。
新しい記事、何とも言い難いですね。どうか気に病みすぎないようになさってください。

Posted by: ドイツとか : 26.07.05 16:18

ドイツ映画祭では思いがけず監督や俳優さんのサインを頂いたりするチャンスが多かったので、非常に嬉しかったです。
主催者側がサイン会を設定する他にも、ロビーで話しかけてサインゲットというのもアリで、久々にはしゃいでしまいました。
『ワン・デイ~』の監督はサインする気満々で、サイン入りカードをバンバン配っていて、思わず笑ってしまいました。

『farland』は残念ながら観る機会が無かったのですが、もしかしたらあの日、ロビーでニアミスしていたかも…そう考えると面白いですね。

Posted by: contra : 27.07.05 20:16
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