tabula rasa

いわば、スクラップブック兼メモのようなもの。
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04.06.05

『青い棘』[鑑賞記録(映画、舞台、その他)]

実は今年は「日本におけるドイツ年2005/2006」で、それにちなんだ行事を多く見かけるし
テレビでもドイツの事を取り扱っているのを目にする機会が増えた…ように思う。

6月4日から有楽町マリオンにて『ドイツ映画祭2005』が開かれていて、
腰痛も良くならないうちから行ってきた。
ちょっと仕事に暇が出来たから、はりきって10作品券なんぞ買っちゃった…。

igdkn.jpg

初日に上映されたのは『青い棘』という作品。
1927年のドイツで実際に起きた、学生の集団自殺事件(「シュテークリッツの学生の悲劇」
として、当時のメディアを大いに賑わせたそう)がベースになっている。

ベルリンのギムナジウム生、パウルとギュンターは親友だった。
ギュンターはお金持ちの息子で、外へと向かう強い情熱とエキセントリックな魅力を持ち、
他方のパウルは裕福な育ちではないが、内に秘めた情熱と、豊かな才能を持つ詩人だった。
育ちこそ違えど、お互いを深く理解していた二人はあるものを求めていた。

人生に最高の幸福というものはあるのだろうか?
最高の瞬間があるのだろうか?
完全な「愛」はあるのだろうか?
もし本当にそれがあるとしたら?
…そしてそれをやがては感じられなくなっていくとしたら?

だとすれば、僕達は一番美しい時に、この世を去るべきだと思わないか?


ギュンターの提案に深く共感したパウルは、二人で「自殺クラブ」を結成する。
―もし、愛を感じられなくなったとしたら、自らこの世に別れを告げること
―自分達から愛を奪ったものへの復讐として、そのものをも道連れにすること


親の居ぬ間を見計らって、彼らはギュンターの別荘で時間を過ごす。
そこにはギュンターの妹、ヒルデがいた。実はパウルは彼女に思いを寄せているが、
彼女はそんなパウルにつれない。
彼女はパウルの事を憎からず思っているのだが、一人に縛られるのはイヤ。
もっと自由に、何人もの男に愛されたいし、愛したいのだ。
目下、そんな彼女と一番親密なのはコック見習いのハンス―兄・ギュンターの
かつての恋人だった。

その夜、ギュンターの別荘でパーティーが開かれる。ギュンター、パウル、ヒルデと
友人達が集まり、アブサンと音楽に酔いしれる中、ハンスも姿を現した。
快楽を愛するハンス。ハンスを愛するギュンターとヒルデ。ヒルデを愛するパウル。
パーティが最高に盛り上がる中、彼らの緊張も次第に高まっていく…。

上映後に監督も語っていたが、「青春」という普遍的なテーマの表現としてはうまく
出来ていると思う。
ある時は全能感に満たされ、自分が世界の中心にいるような気持ちを味わったかと
思うと、次の瞬間には、自分はこの世界には必要ない、塵みたいな存在だと思って
みたり…そんな一瞬一瞬うつろう青春時代の気持ちが、俳優陣の視線であったり、
風景や音楽に良く表れている。

しっかし金持ちで暇があるとロクな事しねえな…というのが正直な感想(わー、台無し)。

1920年代はワイマール時代と呼ばれ、ドイツ・ベルリンは丁度文化の爛熟期。
二つの戦争の狭間で大きく咲いた花は、退廃の香りを放っている…そんな雰囲気が
画面からあふれる作品。映像の美しさと音楽が調和していて、いい感じです。
『恐るべき子供たち』とか好きな人にはいいかも。
それにしても配給会社ってすごいわ。いかにも若い女の子が気に入りそうなタイトルと
コピーつけちゃうし。上手いなあ。
少年愛・ギムナジウム好きな子にはストレートど真ん中だわな(そういうのが好みの子には
多少物足りないかも)。

監督がこぼれ話として紹介していたのが主演の二人について。
主演はダニエル・ブリュールとアウグスト・ディールだったのだけど、実は世界的に
成功した『グッバイ、レーニン!』には、もともとダニエル・ブリュールではなく
アウグスト・ディールが主演の予定だったらしい。
結局アウグスト・ディールが断ったために、ダニエルにお鉢が回ってきたんだそうな。
もしも断ってなかったら、どんな作品になっていたのだろう??見てみたかったな。

また監督は上映後、サイン会を開いてくれた。続けてもう一本見る予定だったし、
順番待ちの列が長いのであまり話は出来なかったが、笑顔で応じてくれた。
ねぎらいの言葉をかけてくれ、一人一人名前を聞いて、きちんとサインに宛名を書いてくれた
(聞きなれない日本人の名前なのにね)。

今秋渋谷のBunkamura ル・シネマで公開予定(どうでもいいけど現在上映中の作品は
二本ともダニエル・ブリュールが出ている…ダニエル祭りだ~♪)。

※文中の写真はドイツ版公式ページよりお借りしました。

投稿者 contra : 04.06.05 23:44
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