tabula rasa

いわば、スクラップブック兼メモのようなもの。
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22.06.04

茶色の朝[読書記録]


braun.jpg

最近年配の方と話をすると、流れは大抵年金の話、それから“イラク問題”。
…どれもぼやきだ。
特に戦争を知っている世代の人は、世の中の雰囲気が「イヤ~な雰囲気」なのだという。
「そうなんですかー」なんていいつつ、心のどこかで「やっぱりな」なんて思っている。

個人的に直接的な被害をこうむったことは無いけれど、少数派の意見が届きにくく
なったんじゃないかと思う。最近の事件に対する世の中の反応もそうだし、政治もそう。
なんだか「息苦しい」感じがする。

ナチス時代のヒトラー・ユーゲントには、規律が厳しいイメージがあるが実際は
意外にも“民主主義”が浸透していたそうだ。
「皆で納得行くまで話し合いをする。その代わり、決定したことには徹底して従う」
とのモットーのもと、活発な意見が交わされたという。
そういう意味において、ナチスはきわめて民主主義的な組織だったらしい。
「民主主義は良いものだとずっと思っていたのですが、じつはそうじゃない。
大事なのは、少数派の意見が少数派として機能している、尊重される事なのです」
…何かで読んだ、ナチ研究家の言葉が脳裏から離れない。

時期的に読むのが重なった「茶色の朝」と「戦争のつくりかた」。
どちらも、あちこちの新聞で紹介されているから言うまでもないのだけど、
「戦争は、実は始まる前から始まっている」のだということを訴えている。

「茶色の朝」は、ある男の口から淡々と語られる物語。
“茶色の動物を取り除く制度”が導入され、彼と彼の友人は可愛がっていたペットを
殺さねばならなくなったこと。
「白と黒の猫だった。まあ、あまり感傷的になっても仕方ないさ…。」
政府批判を繰り返すマスコミがつぶされて、『茶色新報』紙くらいしか読むものが
なくなったこと。
「うっとうしかった。でも、きっと俺が心配性なんだ…」
内側から起こる疑問をやり過ごして、彼がたどり着くもの。
それが「茶色の朝」だ。
ちなみにドイツでは「茶色=ナチス」のイメージが未だ根強いし、ヨーロッパでは
ファシズムを連想させる色とされている。

「戦争のつくりかた」は、近年日本で可決された法案をもとにして描かれているので
「茶色の朝」よりも具体的だ。
これを読んで「極端だ」と言う人もいるし、「おおげさだ」という人もいる。
正直、私も実感があるとは言いがたい。
けれどもそんな考えが一番怖いんじゃないだろうか。

さて、何が出来るんだろうか。

投稿者 contra : 22.06.04 18:04
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