tabula rasa

いわば、スクラップブック兼メモのようなもの。
.

18.03.04

もうすぐ一年[読書記録]


cover

サラーム・パックス―バグダッドの日記を読んだ。

blogという形態に気が付いたのはいつ頃だったろうか?良く覚えてないのだけど、彼の
"Where is Raed?"の存在を聞いた時にようやくこれがblogなのか、と認識した気がする。
この本はそのblogの内容をまとめたもの。

彼は29歳の青年。サラーム・パックスとはもちろん偽名。アラビア語・ラテン語でどちらも
「平和」を意味する。大酒のみで同性愛者らしいけど(笑)、れっきとしたイラク人だ。
かれこれ一年前、彼はどういうわけだかこのblogを使って、ナマのイラクの様子を
全世界に発信していたのだ。そもそも友人と連絡を取る手段としてはじめたらしいが、
情報統制の中、よく見つからなかったなあと思うばかりだ。

親しい友人に宛てて書いていた私信のようなものが、やがて様々な国のbloggerたちの
目に留まり、紹介され、反響を呼ぶ。勿論コメントも付いて、ちょっとした議論になる。
アメリカ人からの「アメリカは君たちを解放しに来るんだ」との説得には、「劣化ウラン弾を
落としてくれてありがとう」と、痛烈な皮肉で返す。
彼の批判の矛先は、アメリカだけではない。周辺諸国との長い確執。また、「人間の盾」
に至っては"政府に利用されたヒロイズム"、もしくは"政府を利用した観光"と断じる(これに
ついては様々意見があると思うが、現地人が見た「人間の盾」というのも一つの現実の
姿だと思う)。…勿論いうまでも無く、彼はフセイン政権のままでいいなんて、これっぽっちも
思っちゃいない。
…どこを頼りにするわけでもなく、自分たちの国は自分たちで守り、作っていくしか道が
無いことを、彼は知っている(けれども、今アメリカ軍がいなくなって、治安が悪化するのも
嫌だと思っている)。

日常のすぐ横に、爆弾が落ちてくる…そんな中でも、たくましく生きるイラクの人々。
その力強さにホッとするが、その反面、家族や大切な人との生活を壊される理不尽…それに
対する怒りは消えない。
戦争に反対するのに、これ以上シンプルで正当な理由は無いんじゃないか?
もうすぐ一年。

投稿者 contra : 18.03.04 15:40
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